九谷焼の招き猫について
九谷焼の招き猫の歴史
白い磁器に鮮やかな色絵・・・九谷焼は石川県南部の金沢市、小松市、加賀市、能美市周辺で生産されている伝統工芸品です。
焼き物としての九谷焼の歴史は17世紀ごろに遡ります。技術振興を目指した前田家藩主利治の命により、後藤才次郎が肥前有田から持ち帰った製陶技術が始まりですが、築窯後、約半世紀で突然廃業した。
初期の焼き物は、100年後に加賀藩の肝いりで再興した九谷焼と区別するために「古九谷」と呼ばれます。
富国強兵を掲げた明治政府は、輸出に注力します。なぜなら、とにかく外貨を獲得することで国を富ませ、列国と肩を並べるのが国是であったからです。
日本産の上質な生糸や欧米の東洋趣味を満足させる陶磁器は非常に大切な輸出品で、シカゴ、ウィーン、パリなど世界の大都市で開催される万国博覧会に出品され、大口の取引がまとめられていった。
明治20年には九谷焼の輸出額は、有田や薩摩など他の産地を抑えて第1位となっています。
九谷焼の招き猫は、その成り立ちから海外向け輸出工芸品であり、国内需要にはあまり目を向けて来ませんでした。
しかしながら、次第に貿易が下向きになり始め、国内でも商品を販売して行こうとしたとき、招き猫にも変化の波が訪れました。
それは、小型化とキャラクター化です。
近年の招き猫は、従来品では考えられなかったような愛くるしい顔立ちや仕草のものが主流になっています。
九谷焼招き猫の特徴である「盛」の文様も、全身に入ったものよりは、前垂れなど部分的にあしらったものが主流になっています。
九谷焼の招き猫の特徴
三大招き猫の一つとして有名な「九谷焼の招き猫」の特徴は、大きく分けると5つになります。
☆いかめしい大人顔
近年は時代の流れを反映して、愛くるしい表情の仔猫タイプが人気を集めているが、本来の九谷焼招き猫は威厳のある大人顔であった。
古いものほど瞳の部分が小さいのも大人顔のイメージを強めています。
☆前垂れが標準装備
九谷焼の招き猫は、ほぼ100%華やかな前垂れを着けています。
また、大きなサイズでは前垂れのひもに「金の鈴」がついていますが、正面ではなく右の肩上に位置しています。
☆耳が反っている
正面向きの猫で、耳が横を向いている型があります。つまり、耳の内側が見えない。
生きている猫の場合、これは警戒した耳の表情になります。つまりは「注意を怠らない=魔を祓う」という意味でしょうか?
☆横座り型がある
足を崩して横座りになった型があります。厳しい顔とミスマッチなのが面白い。
☆絢爛豪華な「盛」文様
「盛」という手法で描かれた独特の模様になります。
「招き猫百科」より